Gmail
2015年7月下旬ごろから、Gmailアカウントを事前の警告なしで勝手に削除された上に復旧できないと嘆くユーザーが多数出てきているとして、米国でちょっとした話題になっていました。 PSA: Google Is Apparently Deleting Old, Unused Accounts Without Warning?Time To Back Up Gmailアカウントは多くのGoogleサービスを利用する上で必要となるとともに、各種ウェブサービスでもアカウント作成に利用しているユーザーが多いメールアカウント。それゆえ、突然のアカウント削除は、ユーザーにとって恐怖以外の何者でもありません。 しかし、Googleが理由もなく、Gmailアカウントを理不尽に消去するようなことがあるのでしょうか。筆者も不安になってきたので、ほんの少しだけ調べてみました。ちなみに、日本で同様の現象は起きていないようです。 問題の経緯 本件の経緯を簡単に眺めておきましょう。 まず、英語圏のGmailヘルプフォーラムでアカウント削除の報告が相次ぎました。確認した限りでは、いずれの報告も「ToS violation(利用規約違反)」による削除通告を受け取ったというもので、通告メールの文面も共通しています。 このような書き出しからメールは始まり、続けてアカウント復旧ボタンが表示され、「Googleアカウントは、削除後、短い期間内でのみ復元可能です」と説明されます。 こんなメールが突然送られてきて驚かされたユーザーが多かったであろうことは想像に難くありません。さらに問題を大きくしたのは、メール中の復旧ボタンが機能不全に陥っていたことでした。 そのような背景があり、「何も悪いことはしてないのに、事前の警告なしにアカウントを削除された」「久しく使ってなかったメールアドレスだけど、削除されると困る。だけど、復旧ボタンをクリックしても機能しない」などといった内容の質問が、Gmailヘルプフォーラムに多数投稿されることになったというわけです。 メールアカウントの削除あるいは無効化は許されるのか 本件では、多数のユーザー報告を確認するかぎり、普段は利用していない放置状態のアカウントが削除あるいは無効化されていたケースがほとんどのようです。 Googleの担当者が7月31日の時点で問題の調査結果を報告したところによれば、問題が発生しているアカウントは、利用規約違反の疑わしいアクティビティがあったために18ヶ月以上前に無効化されており、かつ、それ以降にアカウント復旧プロセスを完了していないものとのこと。そして、ユーザーのプライバシーを守るために、一定期間の経過後、疑わしいアクティビティがあったアカウントを削除すると説明しています。また、復旧ボタンが"復旧"していることとデータ消失は発生していないことを報告するとともに、今回の問題は起きてはならないことだとして、担当者は謝罪しています。ただ、このタイミングで大量に削除された理由については明らかにしていません。 では、このような削除・無効化が許されるのかという疑問が湧き上がるところですが、端的に言って「許されている」というのが回答となります。 この点、アカウントの利用実態がない場合、2008年時点のGmailの規約では9ヶ月でアカウントを無効にする旨の記載がありましたが、現在は具体的な期限設定に関する記載は見つけられません。もっとも、Google利用規約やGmailプログラムポリシーなどでは、状況に応じてアカウントを無効化ないし削除することができるとされています。特にドキッとさせられるのは、Googleは「理由を問わず、また通知の有無に関係なく、ユーザーのアカウントをいつでも削除する権利」を有するとしている宣言でしょうか。 また、放置アカウントの無効化や削除は、サービス側にとってもユーザー側にとっても必要な措置だと考えられます。なぜなら、利用されていないメールアドレスの長期放置は、セキュリティやプライバシー保護の観点から好ましくないからです。不正利用の発覚が遅くなる可能性も高まります。事前の告知の必要性には別論として、放置されたアカウントの無効化や削除は他のメールサービスやウェブサービスでも実施されており、一般的に許容されていると言ってよいでしょう(例:Yahoo!メールの無料アカウントだと6ヶ月放置で利用停止、Microsoftアカウントは2年放置で削除)。 対策 以上のことから明らかなように、今回のケースのようなアカウント削除・無効化への有効な対策は、たまに使っていないメールアカウントにログインして利用することです。 また一般論にはなりますが、アカウントデータのアーカイブを作成・ダウンロードできるサービス「Google Takeout」を使って、定期的にデータを保存しておいてもいいかもしれません。