グーグルから、Pixel 3シリーズの廉価モデル「Pixel 3a」「Pixel 3a XL」がデビューしました。完成度の高い製品ながら高価で手を出しづらかった「Pixel 3」「Pixel 3 XL」に比べ、価格をぐっと抑えた意欲的なモデルです。 しかも、国内向けにはおサイフケータイ(Felica)にも対応するなど魅力十分。ただ、ちょっとした弱点もあるので、注目のPixel 3aを詳しくレビューしていきます。
Pixel 3シリーズとの違いをチェック
まずは、以前から販売されていたPixel 3シリーズを含めた製品の違いを簡単にチェックしておきましょう。 価格の差はとても大きく、Pixel 3 XLの128GBモデルは13万1000円もします。Pixel 3aシリーズは半額近いのです。主な違いを上にまとめましたが、カメラはほぼ同じで、ディスプレイも両者有機ELです。今回は主に、Pixel 3aを軸にレビューしますが、Pixel 3a XLもサイズ以外は基本的に同様です。
Pixel 3aと同梱のパーツ。充電器やデータ転送のためのアダプターが入っている
Pixel 3a XLも同様だ
樹脂ボディの完成度は高いが長く使うと気になるか
Pixel 3aの樹脂ボディは、驚くほどの完成度で背面をパッと見てもPixel 3とほとんど変わりません。これで、Googleがどれだけ力を入れているかがわかります。はっきり言って、Pixel 3aとPixel 3の外観を比べて大きな差を感じる人は少ないでしょう。 もちろん、ガラスボディのほうが高級感があるに決まっていますが、2倍近い価格でそれを求める人はさほど多くないでしょう。ただし、樹脂製のボディは少し使い込んでくると後悔するかもしれません。間違いなくガラスに比べると傷が付きやすいのです。いつまでもきれいに使いたい人は、ケースに入れることをおすすめします。特に本体上部の光沢のある部分は小傷が目立つはずです。 耐水機能がないのもネックで、水濡れには気をつけてください。また、イヤホン端子があるので、手持ちのイヤホンやヘッドフォンを使いたい人には向いています。
Pixel 3aの背面は樹脂製だが高級感は抜群
Pixel 3a XLも同様に高級な印象を受ける
こちらは、Pixel 3でパッと見はほとんど違いがない
Pixel 3aの背面をアップにした。上部分がツヤ有りでしたがつや消しの樹脂だ
ツヤ有りの部分に光を当てると樹脂のゆがみがわかる。ガラスではこのような反射はしない
USB-C端子で充電する
有機ELのディスプレイは十分に美しい
Pixel 3aシリーズは、中級クラスのモデルながら液晶ではなく、有機ELを採用しています。くっきりと明るく、黒が引き締まった美しい発色が魅力です。 今回は、iPhone XS Maxと比較してみました。有機ELでも最も明るい1台であるiPhone XS Maxに比べると若干暗いのですが、このクオリティなら十分以上です。ただし、明るい屋外で写真を撮るときには、最大輝度にしてもやや暗く感じます。 斜めから見ても、くっきりしているのは好印象です。少し残念なのが、上下の額縁が大きく残っていることです。Pixel 3 XLは上部がノッチ構造で画面占有率を上げていますが、Pixel 3aシリーズはどちらもやや縁(フチ)があるデザインです。もちろん、価格を考えれば十分に妥協できます。
Pixel 3aシリーズは手頃な価格ながら有機ELを採用する
左のiPhone XS Maxと比べるとやや暗い
斜めから見ても、くっきりしていることがわかるだろう
省電力静の高い有機ELの特徴を生かして、スタンバイ時でも時計などを表示し続けられる
性能は納得できるはずだがストレージ容量が心許ない
Pixel 3のプロセッサはSnapdragon 845です。リリース時は最速でしたが、すでにSnapdragon 855が登場しているので、パフォーマンスの魅力はやや薄れています。そしてPixel 3aのプロセッサは、ミドルレンジのSnapdragon 670です。 ベンチマークを計測してみると、Snapdragon 845の半分程度のスコアですが、普通に使うには十分です。購入して1年程度はヘビーなゲームも程々に楽しめるでしょう。通常使用なら2〜3年は問題ないはずです。特別にゲームにこだわらない限り、ストレスを感じることはないはずです。 気になるのは、ストレージが64GBしかなく、microSDカードによる増設もできないことです。アプリをたくさんインストールしたり、動画をダウンロードするには物足りません。この点が、最大のウィークポイントと言えそうです。 おサイフケータイを搭載するほか、Pixel 3と同じく握ってOK Googleを起動する機能「Active Edge」なども採用しています。このあたりの機能は使い慣れると便利です。
ベンチマークのスコアは中級モデルとしては十分
握ってOK Googleを起動するなど、便利なActive Edgeを採用
急速充電はPowerDelivery(PD)を採用
バッテリーはPixel 3aが3000mAh、Pixel 3a XLが3700mAhと一般的な容量です。普通に使うには十分でしょう。ただし、ワイヤレス充電には対応していないので、気をつけてください。 急速充電はPowerDelivery(PD)に対応し、18Wの充電が可能です。15分の充電で最大7時間利用可能としています。もちろん、付属の充電器でも急速充電が可能。市販の充電器やモバイルバッテリーもPDに対応していれば、急速充電ができます。
市販のPD対応充電器で急速充電できる
最大18Wの充電が可能だ
カメラはシングルだがiPhone XS Maxと互角レベル
カメラは、Pixel 3同様にシングルです。シングルカメラでもとても美しく撮れるのが特徴で、今回はiPhone XS Maxと比較しましたが、負けず劣らずです。 とはいえ最新のデュアルカメラは、ズームや広角などを採用するのがトレンドになっています。背景をぼかすだけのデュアルカメラはもう古いのです。Pixel 3aシリーズのカメラは背景をぼかすことはできますが、光学ズームやワイド撮影はできない点がやや物足りません。 もちろん普通にスナップを撮るだけなら、4万円台のスマホとは思えないクオリティの写真が撮影できます。
通常撮影
iPhoneのほうがやや明るいものの、どちらも非常に美しく撮れています。
近接撮影1
小さな花を接写しました。やはりiPhoneが明るいのですが、美しさは甲乙が付けがたいところ。
近接撮影2
明るい色の薔薇を撮影。背景のぼけ具合は、iPhoneが勝っています。
色合い
木の葉のグラデーションは、Pixel 3aのほうが濃厚で好ましい印象です。
背景ぼかし
背景をぼかした写真は、どちらも引き分けでしょう。
暗所撮影1
Pixel 3aは夜景モードで撮影。どちらが良いかは好みが分かれるところです。
暗所撮影2
夜の街の様子は、Pixel 3aの夜景モードのほうがメリハリがあって美しく撮れました。
まとめ
今回はPixel 3やiPhone XS Maxといった10万円クラスの上位モデルと比べたので、やや欠点も目立っています。しかし忘れてはいけないのは、Pixel 3aが4万円台で買えることです。価格を考えれば、文句の付けようがありません。特に、おサイフケータイを利用できるのは嬉しい限りです。 今シーズンは、5万円程度のスマホが一気に充実してきそうな気配が濃厚です。ぜひライバルと比較した上で選択してください。今回のレビューについて動画でもまとめています。ぜひご覧ください。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部