Androidの画面ロックに新たに「持ち運び検知機能」が追加されました。同機能は、スマートロック(Smart Lock)と呼ばれる画面ロック解除機能の4番目のメニューで、今のところAndroid 5.0 Lollipop以降を搭載する一部の端末で利用できるようです。

スマートロックの「持ち運び検知機能」とは

スマートロックとは、以下のような一定条件下で自動的に端末の画面ロックを解除する機能。

信頼できる端末(Bluetoothデバイス、NFCタグ) 信頼できる場所 トラステッドフェイス(顔認識) 持ち運び検知機能

例えば「信頼できる端末」としてBluetoothでペアリング済みのスマートウォッチや車載機器を設定しておくと、それらがスマホと接続されているとき、自動的にスマホの画面ロックを解除することができます。

今回追加された「持ち運び検知機能」では、端末の加速度センサーによって端末が身につけられているかどうかを検出し、一度ロックを解除すると持ち運んでいる状態では自動的にロックを解除します。逆に、端末を机上に置いた場合など、端末が身につけられていない状態が検知されると端末が自動的にロックされることになります。

「持ち運び検知機能」を使ってみた

筆者が実際に「持ち運び検知機能」を使ってみたところ、屋外を移動中はほとんど画面ロックがかかりませんでした。 他方、電車に乗っている際は、スマホを片手で持ってあまり動かさないようにしていると、しばらくして画面ロックがかかっていました。電車の加速・減速程度では持ち運び中とは判定されないようです。

グーグルの狙い

スマートロック全体の使用感としては、「自動的にロックが解除される」というよりも「自動的にロックがかかる」と表現した方が適切かもしれません。 そもそもスマートロックが導入された背景には、Androidスマホユーザーの約半数が画面ロックを設定していない現状がありました。設定しない理由として多く挙げられたのが、ロック解除の面倒さ。プライバシーのかたまりであるスマホを守るための画面ロック機能が、その煩わしさゆえに利用されず安全性を低下させているとすれば本末転倒の事態です。 そこで、グーグルはAndroid 5.0でスマートロックを導入。画面ロック機能のオン・オフを自動化し、ロックの必要性が高い状況以外は"鍵をかけない"ようにすることで、画面ロック機能の利用率向上を狙っています。つまり、ユーザーが画面ロック機能を利用してくれないなら、安全性だと考えられる状況ではあえて画面をロックしないようにするという逆転の発想を採用したわけです。 もっとも、「持ち運び検知機能」では、ロックが解除された状態で盗難に遭うと、そのまま解除された状態になりかねないという危険性もあります。その他のスマートロックについても同様に、自分以外のユーザー(特に身近な家族などのユーザー)に対するセキュリティが低下することも考慮する必要はあるでしょう。 スマートロックの導入で画面ロック機能の利用率を上げることができても、かえって安全でなくなるとすれば、それもまた本末転倒です。とはいうものの、スマートロックは、これまで画面ロック機能を設定してこなかったようなユーザー向け機能としての側面が大きい施策。Android全体としてみればセキュリティが向上する方向にあると見てよいのではないでしょうか。