6月25日に開催されたGoogle I/O 2014で、Android OSの最新バージョン「Android L」の開発者向けプレビュー版が発表された。この新OSでは、Android 4.4 KitKatと比べて、バッテリー寿命が約1.37倍の伸びを見せていることが分かった。米テクノロジーメディアのArs Technicaが、テスト結果を公開している。 テストでは、同じ端末(Nexus 5)を使用し、画面も同じ明るさに設定し、OSが異なること以外は可能な限り同じ状況下で実施。画面は表示されている状態で、バッテリーが切れるまで、Wi-Fi環境下でウェブページを自動的に15秒間隔でリロードした。Android Lの新機能であるバッテリーセーバー機能は使用していない。なお、それぞれのOSで2回テストし、平均値を算出している。 その結果が、以下のグラフだ。

Android 4.4.4 KitKatでは345分(5時間45分)でバッテリーが切れたのに対して、Android Lプレビュー版では471分(7時間51分)と2時間以上長いバッテリー寿命を記録し、KitKatから約1.37倍の伸びを見せた。Ars Technicaは、このテストは普段使用している端末を使って実施されたもので新品の端末で同じ結果を示すというわけではない、と但し書きを付け加えている。 このバッテリー寿命の伸長は、もちろんProject Voltaと呼ばれる一連の改善によるものだろう。その中でも、今回のテストに関しては、アプリの動作を最適化する新しいジョブスケジューラAPIが大きな役割を果たしているものと思われる。また、影響が大きそうなのが、Android LからDalvikに代わってデフォルトのランタイム(アプリケーションを動作させる共通の土台となるプログラム)となるARTの効率性の良さだろう。 筆者は現在、Nexus 5にAndroid Lプレビュー版をインストールして日常的に使っているが、今回のテスト結果は納得できるものだ。Android 4.4 KitKatの時に比べて、体感で分かる程、バッテリーの持ちが良くなっているからだ。 Android Lは、マテリアルデザイン採用や通知機能の改善などが注目されがちだが、裏方でユーザー体験を向上させるパフォーマンス面での強化が実は最大の進化だと評価されるようになるかもしれない。