たいていの場合、検索フィールドに言葉を入力して探すだけで十分に事足りることが多いかもしれません。しかし、Gmailユーザーならば、目的のメールや添付ファイルを見つけるのに苦労した経験がきっとあるはず。そんな時、検索コマンド(高度な演算子=特殊なキーワードや記号)を使えば、検索条件をより詳細に設定できるだけでなく、さらにフィルタ作成にも役立ちます。 もちろん、この検索コマンドは、ウェブ版だけでなくAndroidアプリやiPhoneアプリでも利用できます。というよりも、GmailのAndroidアプリ・iOSアプリでは手軽に詳細検索を実行できる「検索オプション」機能が備わっていないため、アプリでこそ検索コマンドの必要性が高いと言えるでしょう。 実は、Gmailのヘルプページにおいて、Gmail用の検索コマンド(Gmail演算子)が一覧表で紹介されています。しかし、この一覧表は分類がイマイチである上に、いくつか記載されていない検索コマンドや筆者が偶然発見した検索コマンドもあります。ここでは、できるだけ分かりやすくなるように独自に整理しました。また、Gmail演算子ではありませんが、Gmailの検索でも利用できるOR検索や除外検索などの演算子も合わせてまとめています。 Googleマップ「ナビ」機能の使い方──基本操作から高速道路の回避(一般道)ルート検索、経由地の追加まで
1. 知っておくと捗る、label:演算子の3つの知識
「label:A」で検索すると、「A」というラベルが付いているメールを検索できます。これがlabel:演算子の基本的な使い方です。 しかし、このlabel:演算子の使われ方はそれに留まりません。label:を使いこなすことで、Gmailの検索コマンドの利用が格段に捗るようになります。
label:演算子の汎用性
Gmailではラベル機能が基本概念になっています。ふつう一般的なメーラーだと受信トレイは「フォルダ」として扱われますが、Gmailだと「ラベル」のひとつとしての扱いを受けます。スターもラベル、ミュートもラベル、迷惑メールもラベルです。 そのため、label:演算子は高い汎用性を持つ演算子として規定されています。つまり、他の検索コマンドの代替コマンドとなれるのです。 label:が代わりを果たせるのは、確認したかぎりではin:とis:、category:の3つ。たとえば、未読メールをチェックできる検索コマンドがin:unreadとis:unreadのどちらだったかを覚える必要はなく、単にlabel:unreadと入力すればよいのです。 なお、ウェブ版だと左側で縦に並ぶラベルリスト(受信トレイやスター付き、重要、カテゴリなど)のなかで「サークル」だけは異質です。特定サークルを探すcircle:だけはlabel:で代用できないためです。
label:演算子の短縮形
label:はl:でも構いません。label:unreadではなくl:unreadでも未読メールを検索できてしまうわけです。タイピングの手間を大幅に省けるので、ぜひ活用したいところです。
label:演算子に関するショートカットコマンド
label:検索にはショートカットコマンド(l:^)も用意されています。たとえばl:^uで未読メールを検索できるといった具合です。詳しくは下記記事を参照してください。 Gmailに隠されたラベル検索ショートカットまとめ 5打鍵で未読メールを抽出可能
2. メール情報で検索
特定のメールをピンポイントで探すためには、そのメールの情報を使って検索するのが近道です。 ただ、ひとつ注意してほしいのが、部分一致検索がうまく機能しないという点です。たとえば、Taro Yamada(taro-yamada@exam-ple.com)というユーザーから送られてきたメールを探すために「Tar」や「yamad」で検索しても、おそらく一致する結果は見つかりません。また、ドメイン名で探す場合でも、「exam-ple.com」なら検索できますが、ハイフンで区切られている「exam」「ple」では検索できても「exa」や「le」では検索できなかったりします。
from: 送信者で検索
送信者(From欄の送信元メールアドレスや名前)で検索できます。 なお、このfrom:や後述のto:、replyto:、cc:、bcc:などの検索コマンドでは、@以降のドメイン名でも検索できます(例 from:example.com)。ただし、ピリオドで区切られた部分(ラベル)には部分一致検索が機能しないようです(from:exampでは検索不可)。
(例)from:A
送信者に「A」を含むメールを検索します。
to: 受信者で検索
受信者(To欄の宛先メールアドレスや名前)でメールを検索できます。
(例)to:A
受信者に「A」を含むメールを検索します。
replyto: 返信先で検索
返信先(Reply-to欄)で検索できます。
(例)replyto:A
返信先に「A」を含むメールを検索します。
cc: cc欄の受信者で検索
cc欄で検索できます。
(例)cc:A
cc欄の受信者名かメールアドレスに「A」を含んでいるメールを検索します。
bcc: bcc欄の受信者で検索
bcc欄で検索できます。
(例)bcc:A
bcc欄の名前かメールアドレスに「A」を含んでいるメールを検索します。
subject: 件名で検索
件名で検索できます。
(例)subject:アプリ
件名に「アプリ」を含んでいるメールを検索します。
size:/larger:/smaller: サイズでメールを検索
サイズでメールを検索できます。使える単位はMB・KB・Bの3種類。B(バイト)の場合は単位を省略できます。
(例)size:1MB
サイズが1MBを超えているメールを検索します(size:1000000もしくはsize:1000KBでも可)。 larger:1MBでも同じ検索結果を得られます。
(例)smaller:1MB
サイズが1MBを超えないメールを検索します(smaller:1000000もしくはsmaller:1000KBでも可)。
list: メーリングリストで検索
メーリングリストを指定してメールを検索できます。
(例)list:user@example.com
メールヘッダーにuser@example.comがあり、宛先または送信者がこのメーリングリストのメールを検索します。
deliveredto: ヘッダーのDelivered-To行で検索
メールヘッダーのDelivered-To行で検索できます。
(例)deliveredto:user@example.com
メールヘッダーのDerivered-to行がuser@example.comがあるメールを検索します。
rfc822msgid: ヘッダーのMessage-IDで検索
メールヘッダーのMessage-IDで検索できます。
(例)rfc822msgid:1234567890@example.com
メールヘッダーのMessage-ID行が1234567890@example.comの検索します。
3. 添付ファイルで検索
Gmailでは添付ファイルの有無・名前・形式などでメールを検索できます。 また、添付ファイルの内容も検索対象に含まれるようになっています。たとえば、ir.pdfという名前のPDFファイルが添付されていたメールであっても、ファイルの中に含まれてる「財務」や「株」といったキーワードで添付ファイルを検索できてしまうということです。
has:attachment 添付ファイル付きのメールを検索
ファイルが添付されているメールを検索できます。ファイル名やファイル形式は関係ありません。
filename: 添付ファイルの名前・形式で検索
添付ファイルの名前・形式でメールを検索できます。
(例)filename:pdf
pdf形式のファイルか名前に「pdf」が含まれているファイルが添付されているメールを検索します。
4. システムラベルで検索
Gmailがあらかじめ提供しているメール分類機能がシステムラベルです。「受信トレイ」や「スター付き」、「迷惑メール」、「ゴミ箱」といったラベルがそれに該当します。
in:inbox 受信トレイのメールを検索
受信トレイ内のメールを検索できます。 ちなみに、送信済みメールも受信トレイに移動させられます。よって、受信トレイ(inbox)には受信メールだけが含まれているとは限りません。
is:starred スター付きのメールを検索
スターが付けられているメールを検索できます(is:starでも可)。
has:yellow-starなど 特定のスター付きのメールを検索
特定のスターが付けられているメールを検索できます。
has:yellow-star…黄色スターが付いているメールを検索 has:red-star…赤色スターが付いているメールを検索 has:orange-star…オレンジ色スターが付いているメールを検索 has:green-star…緑色スターが付いているメールを検索 has:blue-star…青色スターが付いているメールを検索 has:purple-star…紫色スターが付いているメールを検索 has:red-bang…赤色ビックリマークが付いているメールを検索 has:orange-guillemet…オレンジ色ギュメ(»)が付いているメールを検索 has:yellow-bang…黄色ビックリマークが付いているメールを検索 has:green-check…緑色チェックマークが付いているメールを検索 has:blue-info…青色インフォマークが付いているメールを検索 has:purple-question…紫色ハテナマークが付いているメールを検索
is:important 重要ラベル付きのメールを検索
重要ラベルが付けられているメールを検索できます。
is:chats チャット(ハングアウト)を検索
チャット(ハングアウトのスレッド・メッセージ)を検索できます(is:chatでも可)。
is:sent 送信済みメールを検索
送信済みのメールを検索できます。
in:draft 下書きを検索
自動保存されている下書き中のメールを検索できます(in:draftsでも可)。
in:spam 迷惑メールを検索
迷惑メールに分類されているメールを検索できます。ほとんどの検索コマンドは迷惑メールを除外した検索結果を返してくるので、迷惑メールも含めて検索対象にしたい場合に有用です。
in:trash ゴミ箱内のメールを検索
削除してゴミ箱に分類されているメールを検索できます。ほとんどの検索コマンドはゴミ箱を除外した検索結果を返してくるので、ゴミ箱内のメールも含めて検索対象にしたい場合に有用です。
is:mute ミュート済みメールを検索
ミュート済みのメールを検索できます(is:mutedでも可)。
in:all 「すべてのメール」に分類されているメールを検索
「すべてのメール」に分類されているメールを検索できます。つまり、迷惑メールとゴミ箱内のメールを除き、下書き・送信済みメールを含む全てのメールが検索対象となります。 本コマンドは機能的には不完全な隠しコマンドだと考えておいてください。除外コマンドなどと併用できなかったり、他のキーワードと組み合わせて使用すると後述のin:anywhereと同じ振る舞いを見せたりするので、単独でしか使えない可能性が高いためです。
in:anywhere 迷惑メール・ゴミ箱を含む全てのメールを検索
迷惑メール・ゴミ箱を含む全てのメールを検索できます。受信メールだけでなく下書き・送信済みメールやチャット(ハングアウト)も検索対象に含まれます。このコマンドで見つからないメールは、ゴミ箱からも完全に削除されてしまい、ユーザーが復元できない状態になっています。
5. カテゴリーで検索
Gmailでは受信メールは自動的にカテゴリーに分類されます。カテゴリーは「新着(updates)」と「プロモーション(promotion)」、「ソーシャル(social)」、「フォーラム(forum)」があります。
category: カテゴリー内のメールを検索
カテゴリー内のメールを検索できます。
(例)category:social
「ソーシャル」カテゴリー内のメールを検索します。
6. サークルで検索
サークルとはGoogle+でユーザーを分類するグループ機能のことです。Gmailからも利用できるようになっています。
circle: 特定サークルからのメールを検索
特定のサークルに分類している相手からのメールを検索できます。
(例)circle:A
「A」というサークルに分類している相手からのメールを検索します。
has:circle サークルからの全てのメールを検索
サークルに分類済みの相手からのメールを検索できます。
7. ユーザー作成ラベルで検索
ユーザーはラベルを自由に作成できます。
has:userlabels/has:nouserlabels 自分が作成したラベルの有無で検索
自分が作成したラベルが付けられているかどうかで検索できます。
has:userlabels…自分が作成したラベルが付いているメールを検索 has:nouserlabels…自分が作成したラベルが付いていないメールを検索
8. 開封状態で検索
送受信したメールの開封状態でメールを検索できます。
is:unread 未読メールを検索
未読(未開封)メールを検索できます。
is:read 既読メールを検索
既読(開封済み)メールを検索できます。
9. 送受信の時期で検索
送受信したメールの時期でメールを検索できます。検索コマンドを組み合わせれば、特定の期間に区切って検索可能です。
after:/before: 指定した年月日の前後のメールを検索する
指定した年月日の前後のメールを検索できます。日時はYYYY/MM/DD形式で指定しますが、YY/MM/DD形式でも問題ないようです。また、数値が一桁のときは、前に0を加えなくても検索可能です。
(例)after:2016/01/01
2016年1月1日以降のメールを検索します。
類似している検索コマンド
newer:…after:と同じ機能 older:…before:と同じ機能 newer_than:…指定した年数・月数・日数を遡った時点から現在までのメールを検索する機能 older_than:…指定した年数・月数・日数を遡った時点より過去のメールを検索する機能
newer_than:2dなら2日前以降のメールを検索できます(2日前の日付を含む直近3日間)。
10. キーワードや検索コマンドと併用する演算子
Google検索と同様にGmailでもブール演算子などが利用できます。キーワードや検索コマンドと併用することで、より複雑な検索を実行できるようになっています。
空白(スペース) かつ
空白(スペース)でつなげたキーワード両方が含まれるメールを検索できます。 検索コマンドにも使えます。
(例)iPhone Android
「iPhone」と「Android」の両キーワードを含むメールを検索します。
(例)in:inbox is:starred
受信トレイに入っているスター付きのメールを検索します。
OR/{} または
ORでつなげたキーワードのいずれかが含まれるメールを検索できます。ORは大文字で入力する必要があります。ORではなく複数のキーワードを{}で囲っても同じ働きです。 検索コマンドにも使えます。
(例)iPhone OR iPad
「iPhone」か「iPad」のいずれかが含まれるメールを検索します。{iPhone iPad}でも同じ。
(例)in:spam OR in:trash
迷惑メールかゴミ箱に分類されているメールを検索します。{in:spam in:trash}でも同じ。
-(半角ハイフン) 除外
-(半角ハイフン)をキーワード先頭に付けると、そのキーワードを含まないメールを検索できます。 検索コマンドにも使えます。
(例)-セール
「セール」というキーワードを含まないメールを検索します。
(例)-is:inbox
受信トレイに含まれないメールを検索します。
() キーワード・検索コマンドのグループ化
カッコで括ってキーワードや検索コマンドをグループ化できます。
(例)subject:(犬 猫)
件名に「犬」と「猫」を両方含むメールを検索します。「subject:犬 subject:猫」と同じ働きです。
(例)-(in:spam OR in:trash)
迷惑メールかゴミ箱のいずれかに分類されているメールを除外します。「-in:spam -in:trash」と同じ働きです。
“"(引用符) フレーズ検索
スペースを含むフレーズを引用符で囲うと、引用符内のフレーズをひとつのキーワードとして検索できます。
(例)“Lorem ipsum dolor sit amet”
「Lorem ipsum dolor sit amet」というフレーズを含むメールを検索します。