多くのAndroidスマホにプリインストールされている「Google Pay」。気になってはいるけど、活用方法がイマイチ分からないという人も少なくないでしょう。 そこで本記事では、Google Payがどんなサービスなのか、メリット・デメリットを踏まえながら詳しく説明します。そして利用登録から支払い方法など、幅広く、かつ初心者向けにやさしく使い方を解説。Google Payを初めて利用しようという人はぜひ参考にしてください。

Google Payはどんなサービス?

まずはGoogle Payがどんなサービスなのか説明します。

Google Payはお金ではなく財布

Google Payは、PayPayやLINE PayなどのQRコード決済でも、Kyashのようなバーチャルカードでもありません。 Google Payの主な機能は、Suica、楽天 Edy、iD、QUICPayなど複数の電子マネーを一括管理できること。Suicaや楽天Edyなどの電子マネーが“お金”だとしたら、Google Payは電子マネーをまとめておける“財布”のようなイメージでしょうか。

例えば、Google Payに登録したQUICPayを利用して決済をしたとしても、支払い手段はあくまで“QUICPay” なのであって “Google Pay” ではありません。 実店舗での支払い時には、レジで「Google Payで」ではなく「Suicaで」「iDで」といったように各電子マネー名を伝えるとスムーズでしょう。

おサイフケータイと違って登録からチャージ・決済までおこなえる

Google Payは電子マネーをまとめる“財布”と説明しましたが、だからといって何がどう便利なのかピンとこない人が多いはず。Google Payの機能の特徴は、同じように電子マネーを管理できる「おサイフケータイ」アプリと比較するとわかりやすいでしょう。 NTTドコモ提供する「おサイフケータイアプリ」でも、同じように電子マネーをまとめて管理ができますが、あくまでチャージ残高などを一括で確認できるだけ。モバイルSuicaならモバイルSuicaの、iDならiDのアプリをそれぞれダウンロードして、各アプリから初期設定やチャージをする必要があります。 一方のGoogle Payでは、わざわざ複数の電子マネーのアプリをダウンロードする必要はありません。Google Payのアプリひとつで、電子マネーの初期登録やチャージ、決済まですべておこなえます(nanaco除く)。 さらに、Google Payに登録したクレジットカードを使ってそれぞれの電子マネーへチャージ・紐付けができるので、カード情報を何度も入力しなくて済むのも嬉しいところです。

Google Payのメリット・デメリット

メリット1:スピーディーに決済できる

後ほど使い方の項目で詳しく解説しますが、実店舗での使い勝手の良さは、Google Payの大きな魅力です。

店頭スタッフに各電子マネー名を伝えて、端末を店舗の読み取り機にかざすだけで支払い完了。対応した電子マネーが自動的に決済をしてくれるので、Google Payアプリの起動や電子マネーの選択といった操作は、一切必要ありません。 また、支払額が1万円以下であれば端末のロック解除すら要求されないので、Suicaなどの物理カードとほぼ同じ感覚で使えます。 この点では、決済のたびにアプリを起動させる必要のある「LINE Pay」や「PayPay」といったQRコード決済よりもスピーディーだといえるでしょう。

メリット2:ポイントカードやギフトカードをまとめられる

実物の財布にポイントカードを入れて管理しているように、Google Payにもポイントカードをはじめ、会員カード、ギフトカードなどをまとめられる機能が備わっています。 Tカードや楽天カード、dポイントカードなどのメジャーなものからマイナーなものまで、数千種類が登録可能とのこと。

左:Google Payアプリを起動し、[パス]のタブをひらく右:ポイントカードのQRコードやバーコード、会員ナンバーなどをレジで読み込んでもらえばOK ただ、電子マネーの利用とは違い、ポイントカード機能を利用するにはGoogle Payアプリを起動し、各カードの選択をしてレジで提示するといった操作が必要。 それでも、物理カードを何枚も持ち歩く必要がなくなるので、財布がかなり軽くなるでしょう。

メリット3:年会費無料で「モバイルSuica」の基本機能が使える

現在、「モバイルSuica」にクレジットカードを登録すると、原則として年会費1050円(税込)がかかります(2020年2月26日以降、無料化の予定)。AndroidユーザーがモバイルSuica会員の年会費を無料にしたければ、JR東日本が発行するクレジットカードである「ビューカード」を登録するほかありませんでした。

しかし、Google PayのSuicaでは、ビューカードなしでも無料で「モバイルSuica」の基本機能を使えます。クレジットカードチャージ、公共交通機関での利用、実店舗での支払いなど、日頃よく使う機能はGoogle PayのSuicaもモバイルSuicaも変わりません。 また通常のモバイルSuicaやApple Payでは1000円単位でしかチャージができませんが、Google Payでは1円単位からチャージが可能なのも地味に嬉しいポイントです。 ただ、Google PayのSuicaでは、モバイルSuica特急券の購入やオートチャージ、JREポイントの受けとりなど、いくつかの機能は利用できません。 Google Payに登録したSuicaの機能一覧

デメリット1:ほとんどの電子マネーの利用にはFeliCa搭載端末が必須となる

Google Payアプリに登録した電子マネーを決済手段として使うには、FeliCaを搭載した「おサイフケータイ」対応スマホ(Android 5.0以上)が必要だと考えて構いません。 FeliCaを搭載していないスマホでも「オンライン決済」と「Visaのタッチ決済」だけは使えますが、日本国内ではまだ一部の場所でしか利用できません。日本でまともにGoogle Payを使うには、やはりFeliCaを搭載した「おサイフケータイ」であることが必須条件となります。 ソニーが開発したFeliCaという通信技術はスマホだけでなく物理カードのSuicaやPASMOなどにも利用されています。そのため「Felica」=「おサイフケータイ」ではなく、あくまでFelicaのICチップを搭載したスマホが「おサイフケータイ」だと理解しましょう キャリアが販売するAndroidスマホはほとんどFeliCaに対応していますが、SIMフリースマホのなかにはFeliCaに対応していない端末も。以下の方法で自分の端末をチェックしましょう。

端末の背面にあるFeliCaマーク 自分のスマホがFeliCaを搭載しているかどうか調べるには、背面にFeliCaマークがあるかをチェックするのがいちばん手っ取り早いでしょう。 ただ、Pixel 3/3aや4のようにFeliCaを搭載していても背面にマークが付いていないケースもあります。その場合は「おサイフケータイ」アプリがプリインストールされているか、また「おサイフケータイ」アプリが使えるか確認してください。 FeliCaを搭載していない場合は、おサイフケータイアプリを起動しても「対応していない端末です」と表示されます。

デメリット2:電子マネーの機能に制限がある

Google Payは、複数の電子マネーの初期登録、チャージ、決済の一連の操作をアプリひとつでおこなえるのが便利なポイント。しかし、一部の電子マネーには、各電子マネーのアプリをインストールしないと利用できない機能があります。

Google Payアプリに登録したnanacoにはチャージボタンがない 特に「nanaco」は、Google Payアプリのみでの利用が大きく制限された電子マネーです。 上の表のとおり、Google Payアプリからだと多くの機能が制限されます。なんといっても、クレジットカードチャージができないのはかなり不便でしょう。Google Payでnanacoをふつうに利用するなら、Google Payアプリだけでなく、モバイルnanacoアプリも合わせてインストールする必要があります。 また、WAON、楽天Edy、Suicaでも、ポイントチャージや機種変更は、各アプリからしかおこなえない仕様になっています。

デメリット3:セキュリティに難あり(決済時に本人認証が求められない)

Google Payで支払うのに必要な操作は、基本的に店舗の読み取り機に端末をかざすだけ。アプリの起動はもちろん、少額決済の場合は画面ロックの解除も要求されないので、スピーディーな支払いが可能です。 しかし、これは裏を返せばスマホさえ手元にあれば誰でもGoogle Pay決済を使えるということ。例えばスマホを落としてしまった場合、拾った人が簡単に不正利用できてしまいます。 そこでGoogle Payには、高額決済時のセキュリティ対策が施してあります。登録した電子マネーで1万円を超える決済をする際、画面ロックの解除(パスコードの入力や指紋認証)が求められるようになっているのです(画面ロックを設定している場合に限る)。 とはいえ、1万円以下の決済でなら画面ロック解除が不要なので、紛失盗難時に悪用されやすいことに変わりありません。 なお、Androidスマホの機種によっては、「設定」アプリやクイック設定パネルからNFC/おサイフケータイの機能自体を制限できるものもあります。決済のたびに制限の解除をしなければならないのが手間ですが、設定しておけばGoogle Payによる決済の安全性は高められるでしょう。

Google Payで使える支払い方法

Google Payアプリで管理できる電子マネーは大きく分けて2種類。ひとつはSuica、楽天 Edy、nanacoなど事前にチャージした残高から支払う「プリペイド型」。もうひとつはチャージを必要とせず、紐付けたクレジットカードやデビットカードで支払うiD、QUICPayのような「ポストペイ/デビット型」です。 また、Google Payに登録したクレジットカードの情報を使って、オンラインショップでの支払いもできます。

プリペイド型(Suica、楽天 Edy、nanaco、WAON)

プリペイド型のSuica、楽天 Edy、nanaco、WAONは、事前にチャージした残高から支払います。Google Payからのチャージは、基本的にクレジットカードもしくは店での現金チャージのみ。 オートチャージやポイントチャージには対応していないので、これらの機能を使いたい場合は別で各電子マネーのアプリをインストールしましょう。 Suicaと楽天Edyは日本で発行されたほぼ全てのクレジットカードによるチャージが可能。一方、WAONはイオン発行のクレジットカードでしかチャージできず、nanacoにいたってはGoogle Payアプリからではクレジットカードチャージそのものができません。

ポストペイ/デビット型(iD、QUICPay、Visaタッチ)

以下に該当するクレジットカード/デビットカード/プリペイドカードをGoogle Payに登録すると、iD、QUICPay、Visaのタッチ決済を利用できます。利用した分だけカード代金と一緒に請求されるので、事前にチャージする必要がありません。 QUICPayを利用する場合は、紐付けているのがクレジットカードか、プリペイド/デビットカードかによって利用できる店舗と1回あたりの上限金額が異なります。

オンライン支払い

クレジットカードを登録した場合:QUICPayマークの店で税込み2万円まで、QUICPay+マークの店であれば税込み2万円以上の利用が可能 プリペイド/デビットカードを登録した場合:QUICPay+マークの店でのみ税込み2万円以上の利用が可能(QUICPayマークの店では利用できない)

アプリやウェブサイトで Google Payが支払い方法として提供されている場合には、Google Payアプリに登録したクレジットカード/デビットカード/プリペイドカードを利用して支払いができます。

Google Payを使う手順、クレジットカードの登録から店での決済まで

実際にGoogle Payを使って決済するまでの手順を解説します。 ここでは例として、三井住友カードを登録して実店舗でiD決済するまでの手順を紹介しています。Google PayにSuicaを登録してチャージ、決済する方法は、以下の記事に詳しくまとめています。

1支払い方法を登録する

TOP画面から「支払い」タブに移動し[+お支払い方法]ボタンをタップします。 追加する決済手段を選べるので、Suica、楽天Edy、WAON、nanacoを使いたい場合は[電子マネー]を、iD、QUICPay、Visaのタッチ決済、オンライン支払いを使いたい場合は[クレジット/デビット/プリペイド]を選択しましょう。

2クレジット/デビット/プリペイドカードを登録する

次にカード情報を入力します。自動的にカメラが起動するので、枠内に物理カードが収まるようにすれば、自動でカード番号を読み込んでくれます。LINE PayやKyashなどのバーチャルカードを登録したい場合は、手動で入力しましょう。 続いて氏名や住所、電話番号など案内に従って必要情報を入力し、[保存]ボタンをタップしてください。

多くの場合、カード会社側で本人確認が求められるので、SMSなどで確認コードを受け取って入力します。無事認証されれば、カードの登録は完了です。

3iD、QUICPay、Visaのタッチ決済いずれかのメインカードに設定する

登録したカードによって、iD、QUICPay、Visaのタッチ決済いずれかの電子マネーが利用できる旨が表示されるので、[続行]をタップ。 なお、「このカードは非接触型決済用として設定できません」と表示された場合は、iD、QUICPay、Visaのタッチ決済どの電子マネーにも対応していないということです。 とはいえ、クレジットカードを登録しておけば、オンラインショップでの支払いに利用できるほか、Suica、楽天Edyなどの電子マネーチャージにも使えるので、登録しておいて損はないでしょう。 ここまでできれば、支払い方法の登録は完了です。

4店舗で読み取り機にかざして決済する

では、実際にGoogle Payに登録したiDで支払ってみましょう。レジで店頭スタッフに「iDで」と利用する電子マネーの名前を伝えます。 ここで誤って「Google Payで」と伝えないよう注意してください。Google Payに登録はされていますが、決済手段として使われるのはあくまでも各電子マネーです。 店頭スタッフに「読み取り機にかざしてください」などと指示されたら、スマホの背面を読み取り機にかざします。なかなか読み取られない場合は、端末のFeliCaマークを読み取り機のFeliCaマークに合うように位置を合わせてかざしてみましょう。

音が鳴り、読み取り機が青く光ったら決済完了。決済後、スマホにはなにも表示されませんが、読み取り機側には決済金額と電子マネー名などが表示されるはずです。

5利用履歴を確認

Google Payに登録してある電子マネーやクレジットカードで決済した分は、いつ、どの手段で、いくら使ったかをまとめて確認できます。 Google Payアプリの[]ボタンをタップしてメニューを開き、[ご利用履歴]を選択してください。ここで購入やチャージ、またSuicaでの乗車履歴などが確認できます。