iPhoneのカメラロールに、ほとんど同じ2枚の写真が保存されていて戸惑ったことはないでしょうか?「間違えて2枚撮ってしまった」と思うかもしれません。実はこれ、iPhoneのカメラが備えているHDRという機能のせいなのです。何の設定もせずに使える機能なので、普段から意識しているユーザーは多くはないでしょう。 そこで今回は、「HDRって何?」という基本的なところから、HDR写真の撮影方法、写真を2枚保存しないようにする設定の仕方までまとめて解説します。 iPhoneの容量が不足した時、空きを効果的に増やす方法

HDRとは

HDRは、そのまま「エイチ・ディー・アール」と読みます。「ハイダイナミックレンジ」(または「ハイダイナミックレンジ合成」)の略で、露出の異なる複数の写真を合成し、よい部分だけを残したまま1枚の写真に仕上げる機能です。iPhoneでは、3枚の写真を撮影しその場で合成します。普通に撮影するのに比べて、肉眼で見るのに近い自然な写真に仕上げられます。 写真を撮影するとき、目で見ている実際の景色よりも明るくなったり、逆に暗くなったりすることがあります。カメラのレンズが捉えることのできる明暗差の範囲(ダイナミックレンジ)は人の肉眼のそれよりも狭いため、カメラが設定した露出によって写真が明るくなったり、暗くなったりするのです。

左:HDR写真は太陽の白飛びが抑えられている右:通常の写真は太陽の周り部分が飛んでいる 夕暮れのきれいな景色を撮影しようとして、空が明るくなりすぎて雰囲気が台無しの写真が撮れたことはないでしょうか。あるいは逆光気味のシーンで影になっている部分が真っ暗になってしまったことは?HDRはこのようなとき、普通なら明るすぎて白く飛んでしまうような部分や、影になっていて暗くつぶれてしまう部分であっても、綺麗に撮れるように調節してくれます。目で見ている景色により近づけるのがHDRというわけです。

iPhoneはHDR写真を標準で撮影できる

特に設定を変更していなければ、HDRは自動でオン/オフが切り替わります。HDRが必要なシーンだとiPhoneが判断すると、HDRがオンになり、撮影画面にの上のほうに「HDR」と表示されます。このときシャッターボタンを押せば、HDR写真が撮影されます。

HDRがオンのときは「HDR」と表示される。シャッターボタンをタップするとHDR写真を撮影できる 基本的にHDR機能は自動のままで問題ありませんが、動きのある被写体の撮影に不向きであることに注意が必要です。というのも、HDR撮影では3枚の写真を連続で撮影しているので、被写体が動いていると、オフのときと比べてブレが大きくなるからです。iPhoneをしっかり構えていても、このブレは防げません。 また好みの問題ですが、何気ない風景が、本当に何気なく映ってしまう、というのがHDRの特徴です。シーンによっては、標準版の露出で撮影した写真のほうがメリハリのある写真になります。

HDR写真を表示するには

HDRで撮影した写真には、「HDR」という表示が付きます。カメラロールのサムネイルからは判断できませんが、写真を開くと画面の左上に「HDR」と表示されます。

左:HDR写真には「HDR」表示あり右:通常の写真

写真が2枚保存されないように設定を変更する方法

HDRが自動またはオンになっていると、撮影シーンによってHDR写真と標準露出の写真の2枚がカメラロールに保存されます。完全に同一の写真が重複して保存されるわけではありませんが、見た目がほぼ同じ2枚の写真がカメラロールやマイフォトストリームに保存されて、整理が大変という人も多いはずです。 しかし、HDR写真は通常の写真とは異なる写真であるため、「通常の写真を撮影したと思っていたらHDRがオンになっていて、HDR写真しか保存されななかった」という結果はユーザーの期待を裏切る結果になりかねません。そのため、通常の写真も合わせて保存される仕組みがデフォルト化されているのです。 もちろん、最初からHDR版のみを残したければ、標準露出の写真を保存しないように設定を変更できます。方法は簡単。「設定」アプリ→[写真とカメラ]で[通常の写真を残す]をオフにするだけです。

[通常の写真を残す]をオフにするとHDR版の写真だけが残る 明暗差の激しいパリッとした写真が好みなら、標準露出の写真だけを残したいと思うかもしれません。この場合は、撮影時にHDRをオフにするだけでOKです。

[HDR]をタップし、[オン]または[オフ]を選ぶことで、HDRを強制的に有効または無効にできる 【iPhone】標準カメラアプリの使い方と設定 完全ガイドプロカメラマンに訊く、スマホ写真の撮り方 これだけは押さえたいテクニック