iPhone Xを使い始めたら最初に確認してほしいのが、「視差効果を減らす」機能の状態。というのも、「視差効果を減らす」機能がオンになっているとスワイプ操作時のエフェクトが変わってしまい、iPhone Xにおけるユーザビリティを大きく損なってしまうからです。 ユーザビリティを損なうとは、どういうことか。以下のGIFアニメを見比べれば一目瞭然でしょう。
左:「視差効果を減らす」オフ右:「視差効果を減らす」オン 上記画像は、ホーム画面からAppスイッチャー(マルチタスク画面)を表示して、ホーム画面に戻る様子です。いずれも同じように操作した状況をキャプチャしています。 ここで「視差効果を減らす」がオフの場合(左側のGIFアニメ)、ホーム画面全体が押し込まれたような挙動を見せ、その上にAppスイッチャーが被さるように表示されます。画面内のレイヤー構造的に下層にあったホーム画面がさらに下降することで、中層にあったAppスイッチャーが画面に降りてくる印象を筆者は受けます(上層には個々のアプリ画面があると想定)。
筆者がiPhone Xを操作中に脳内に描いているレイヤー構造 一方で「視差効果を減らす」がオンの場合(右側のGIFアニメ)、Appスイッチャーが表示される前にホーム画面が押し込まれまれないので、スワイプに対するインタラクションが決定的に欠けており、何かが起こりそうな予感をユーザーに与えません。そのため、Appスイッチャーの出現が唐突になるのです。フェードイン/フェードアウトのエフェクトも、スワイプに対する反応としては不自然に感じます。 そもそもiPhone Xでは、スワイプ操作の重要性が格段に増しました。周知のとおり、ホームボタンが廃止されたためです。 ロック画面解除もスワイプ、アプリからホーム画面に戻るのもスワイプ、Appスイッチャーを表示するのにもスワイプ、アプリを高速で切り替えるのにも(ホームボタンに代わって搭載された)ホームインジケーター付近を左右にスワイプーー。親指がおかしくなりそうなくらいスワイプ操作を求められます。 この点、画面遷移にエフェクトがしっかり効いていないと、ホームボタンの代替として導入された各種スワイプ操作が直感的ではなくなります。 そこでiPhone Xは、画面の向こう側で深度(高さ、奥行き)とレイヤー構造を表現するユーザーインターフェースを採用しました。そして、画面内外のレイヤー構造を感じさせるギミックとして、さまざまなスクリーンエフェクトが大々的に活用されているのです。
左:「視差効果を減らす」オフ右:「視差効果を減らす」オン
左:「視差効果を減らす」オフ右:「視差効果を減らす」オン iPhone 8以前のデバイスと大きく異なるユーザー体験を提供しているiPhone X。好みの問題でパララックス・エフェクト(端末を傾けると壁紙などが揺れ動く視差効果)を無効化するため、もしくはバッテリー節約の目的のために「視差効果を減らす」機能をオンにしていたのであれば、少なくともiPhone Xの操作に慣れるまでは「視差効果を減らす」機能は無効化しておくことをオススメします。さもなければ、Appleが整えてくれたお膳立てを台無しにしてしまうことでしょう。 なお、「視差効果を減らす」の機能名は、英語設定だと「Reduce Motion」です。「視差効果(=パララックス・エフェクト)」という日本語訳がもはや不適切になっている現状に合わせて、当該機能名は変更されるべきでしょう。