スマホ単体では、歩きながら動画を撮影すると階段などで、ガクガクとした動きが入ってしまうことが多いでしょう。特に意識せずに歩きながら撮影すると、特にそうなります。スタビライザーを使えば、手にしている人が歩いたり、階段を上ったりしてもその動きはスマホにはあまり伝わりません。映画のようにスムーズな動きの動画が撮れるのです。 スタビライザーには様々な種類があり、少し前まで安価な製品は錘(おもり)でバランスを取る機械式のモデルばかりでした。本体が大きく重いので気軽には使えなかったのです。ところが、最近はモーターで安定して動かす電動式のモデル(ジンバル)が安価になってきました。サイズもコンパクトなので、お出かけに持ち歩いても苦になりません。 今回選んだモデルは「Zhiyun Smooth 4(ジウン スムース フォー)」です。これまでにも複数のスタビライザーをレビュー等でテストしてきましたが、本モデルを選んだ理由なども合わせて紹介します。
なぜ「Zhiyun Smooth 4」を選んだのか
Zhiyun Smooth 4を購入した理由を最初に紹介しましょう。まず、予算的に2万円程度までと決めていました。実はこの価格帯のスタビライザーが人気になっているので、いくつかのモデルが選択できます。 その中でZhiyun Smooth 4に決めたのは、手元のボタンでフォーカスやズームなどがコントロールできるからです。これにより、スマホの画面に触れずにズームができます。他のスタビライザーでは画面をタッチすることになり、例えば歩きながらズームを変更するのがとても面倒で、撮影に集中しすぎると足元が危険なケースも出てきそうです。 この機能による効果は後述しますが、とても楽しい動画が撮れます。Zhiyun Smooth 4は、2万円以下のスタビライザーの中ではイチ押しのモデルです。
到着したZhiyun Smooth 4と付属品 ただし、最大の欠点は重いことです。重量は549グラムとされていますが、iPhone Xとともにキッチンスケールで計測すると730グラムもありました。この重さを手に持って撮影し続けなければならないのがちょっと負担です。 とはいえ、一眼レフを持ち続けていると考えればそう重くはありませんし、この手の製品はある程度重いほうが安定します。スマホ単体で撮影するような軽快さはありませんから、ここぞという時に装着して使うべきでしょう。 製品には、三脚と充電用のケーブルが付属します。僕が購入した時には1万7500円でしたが、さらに安く買えるケースも出てきているようです。
日本語の説明書が付いてくるので初心者でも問題なく使える
付属の三脚を取りつけたところ。タイムラプスの撮影にはこのスタイルで利用する
スマホのセットにはちょっと慣れが必要
初めてスタビライザーを使う人は、最初に少し戸惑うかもしれません。セッティングにはクセがあります。 まず、スタビライザーの電源がオフの状態で、スマホを差し込むように取りつけます。強力なクリップでスマホを固定すると思えば良いでしょう。スマホを取りつけただけでは正しく機能しません。本体のダイヤルを回してアームの長さを調整します。 これによりバランスが取れて、ほぼ水平の状態になるのです。アームはいわば天秤と同じで、少し動かすだけで、重量バランスが変わってスマホの角度が変化します。電源オフの状態で程々にバランスが取れれば作業は完了で、いよいよ電源を入れます。これは他のスタビライザーもほぼ共通です。
電源オフでiPhone Xを取り付けた状態
このネジを回してステーの長さを調整し、バランスを取る
このようにバランスが取れればセット完了
裏から見るとこのようになる。一度セットしてしまえば、次からはバランス調整は不要だ
こちらのネジではスマホの縦横を変更する
この部分がクリップになっていてスマホを挟む仕組み。対応する重量は210グラム、幅が65〜82ミリまで Zhiyun Smooth 4は専用のアプリを利用することで、スタビライザー側の各種ボタンが有効になります。僕はiPhone Xで利用していますが、すべての機能が問題なく使えています。 手元にあるHUAWEI P20 Proも一応対応しているのですが、機能が使えなかったり、不正終了が目立ちます。おそらく今後のアップデートできちんと使えるようになるのでしょう。iPhoneユーザーの購入はおすすめですが、Androidスマホで使う人はよく情報を集めて実用度をチェックしてください。 なお、6インチまでのスマホに対応となっていますが、サイズを見るとiPhone XS Maxでも使えそうです。
ほとんどの機能を手元のボタンで操作できる
Zhiyun Smooth 4は、左側に付いているダイヤルでフォーカスとズームが操作できます。機能はボタンで切り替え可能です。さらにフラッシュ、インカメラとのカメラの切り替え、露出調整、動画撮影、静止画撮影など、ほとんどの機能が手元のボタンで利用できます。 これが最大の特徴で、動画撮影時の画素数なども調整できます。つまり、片手でほとんどの作業ができるわけです。ダイヤルを回す時には両手を使ったほうが便利ですが、慣れれば片手でもある程度は動かせます。 また、本体正面の切り替えスイッチと背面のボタンを使うことで、軸の動作を制御できます。たとえば、自分が動いても被写体を追いかけたり、逆に普通にカメラを動かしたりすると、撮影している映像も動くように設定可能です。 専用アプリ「ZY Play」は、iPhoneで使うならとても分かりやすく設計されています。インストール後、Bluetoothで接続して使うのですが、画面のメッセージに従うだけでOKです。なお、本体は電動で内蔵のバッテリーで駆動しますが、最大12時間利用可能です。スマホにも給電することができます。
本体のボタンやダイヤルなど。画面にタッチせずにほとんどの操作ができる
本体背面のボタンで軸の動きを制御可能だ
充電用のポート
専用アプリ「ZY Play」でメニューを表示したところ
「ドリーズーム」撮影がおこなえる
Zhiyun Smooth 4を手に入れていろいろ撮影してみていますが、徒歩の振動などは少し動画に写り込んでしまいます。他のスタビライザーではもっと制御されていた記憶があるので、少し穏やかに歩いたほうがよいいかもしれません。とはいえ、スマホ単体での撮影とは雲泥の差です。 さらに、ダイヤルを回すことでズームが撮れる機能を生かすと、「ドリーズーム」という撮影が可能です。自分が被写体に近づき(もしくは離れ)ながらズームを調整することで、被写体の映り方はほぼ変わらずに背景だけを動かす撮影方法です。 タイミングを合わせるのが難しく、まだまだ練習中なのですが、それでも楽しく撮れています。スマホ単体では絶対にこのような撮影はできませんし、他の2万円以下のスタビライザーで撮影できるモデルはほぼないと思われるので、最大の特徴と言ってもいいでしょう。 普通に撮影してもこのように滑らかな動きで撮れる ドリーズームの作例1 こちらもドリーズームの作例2
まとめ
スマホで写真を撮るのは当たり前になりましたが、これからは動画の撮影も楽しみたいもの。そこでイチ押しなのがスタビライザーで、動画好きには間違いなくおすすめのデバイスです。Zhiyun Smooth 4は手ごろな価格でドリーズームなど相当に遊べます。本体はシボ仕上げで価格以上の高級感もあり、満足して使えるはずです。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部