LINEは8月21日、カンファレンスイベント「Hello, Friends in Tokyo 2013」を舞浜アンフィシアター(千葉県浦安市)で開催した。アプリオ編集部もイベントに参加してきたので、その様子をレポートしつつ、LINEの今後について考察する。

Hello, Friends in Tokyo 2013をリポート

昨年に引き続き、今年で2回目を迎える同カンファレンスは、年に一度の「LINE祭り」のようなもの。今年は国内外のプレス300名、パートナー関係者750名、一般ユーザー150名の計1,200名が参加し、ディズニーランド近くの場所柄もあってか、会場はさながらテーマパークのような雰囲気だった。

場内へ入ると、動くジェームズやコニー、ブラウンがお出迎え。さらに、巨大LINEキャラクター人形たちと一緒に撮影できるスポットが用意されていたり、モダンアート風の“LINEポスター”が飾られるなど細かな演出も施され、LINEの世界観が表現されていた。

LINEグッズを販売するショップも併設され、招待客でごった返していた。ショップ内のLINE POPやLINEポコパンのルーレットゲームも、当たればLINEグッズがもらえるとあって、行列ができるほどの盛況ぶり。

ショップでは今回初めて出回るアイテムや、NHN Store(LINE社内にあるショップ)のみで販売されているものも扱われていたようで、飛ぶように売れていた。今後、これらのLINEグッズは「LINE FRIENDS」というブランド名で統一、展開されるという。

興味深い各種データが公開

今回のプレゼンテーションでは、同社の森川亮社長らからLINEに関する様々なデータが示された。

まず登録ユーザー数は、2013年8月21日時点で世界2億3,000万人(日本4,700万人)となり、2012年8月比で460%増だった。また、1日あたりのメッセージ数は70億件、1日あたりのスタンプ投稿数は10億件にもなるという。

特にグローバルでの成長が著しく、タイで1,800万人、台湾1,700万人、スペイン1,500万人、インドネシア1,400万人にのぼるなど、現在のユーザー比率は海外が80%を占める。今後、グローバルに10億人規模を目指すとしており、直近の目標として2013年内の3億人突破を掲げた。

また、これまでに提供されているLINE連携アプリは52タイトルを数え、うちLINE GAMEが36タイトル、LINE cameraなどその他アプリが16タイトルとなっている。累計ダウンロード数は2億9,000万件で、うちLINE GAMEが1億9,000万件、その他が1億件だった。

LINEビジネスモデルと今後の展開

LINEの収益の柱として大きく、(1)スタンプなどのLINEアプリ内課金、(2)LINE連携アプリ内の課金(ゲーム含む)、(3)B2Bマーケティング・ソリューション事業(企業等からの広告収益)、(4)キャラクターライセンス事業(マーチャンダイジング含む)が挙げられた。 これらLINEのビジネスモデルに沿って、今後のLINEがどうなっていくのか考えてみたい。

スタンプときせかえの充実

(1)のLINEアプリ内課金では、228億円あったデコメ市場に対し、LINEスタンプはわずか2年で120億円の市場に成長したことを強調。スタンプの月間売上は、10億円(2013年7月)にものぼっている。 また、現在無料で配布されているコニーやブラウンの「着せかえ」も、それぞれ300万、400万ダウンロードを記録し好調。今後は有料の着せかえをスタンプ同様に展開することで、さらなる収益の強化をはかっていくとしている。

No.1プラットフォームのLINE GAME

(2)では、LINE連携アプリ内の月間課金売上が30.7億円、うちLINE GAMEが25.8億円となったという(2013年7月)。LINE GAMEが大きな比率を占めるのが特徴的だが、今やナンバー1となったスマホネイティブゲーム・プラットフォームを生かし、引き続き新タイトルを投入していくようだ。 LINE GAMEは、何でもありのオープンなプラットフォームというよりは、シンプルなルールで気軽にすぐ始められ、ゲームを軸にLINEでのコミュニケーションの幅を広げるというコンセプトの下に展開される方針。今後も“LINEのカルチャー”に合致したゲームが登場することになるだろう。

進化するタイムラインと広告

(3)のB2Bマーケティングには、主に公式アカウント、LINE@、スポンサードスタンプなどが含まれる。これに関連して、今回のプレゼンで何度か焦点を当てられていたのが「タイムライン」の利用状況だ。 最近のアップデートで、企業などの公式アカウント、LINE@アカウントもホーム機能が運用可能になり、これらアカウントを友だち追加しているユーザーのタイムラインには、企業アカウントの投稿が表示されるようになった。それゆえに、LINE側としてはタイムラインのアクティブ度を強調したかったのかもしれない。 タイムラインの月間ユニークユーザー数(2013年7月)は、世界で7,300万人(前年比330%増)、日本国内で2,900万人(前年比220%増)となっており、1日あたりのコミュニケーション数(投稿数+いいね数+コメント数)は5,400万件にもなるという。

舛田淳執行役員も、当初は「必要ないのでは?」「失敗したのでは?」と言われたタイムラインが、蓋を開けてみれば多くのユーザーに使われていることに自信をのぞかせた。 そして、LINE友だちにしか見られない身近で安心できるタイムライン、また多くの人が初めて触れることになるタイムラインとして、他のSNSのそれとは似て非なるものであるという見方を示している。 ゲームや企業の投稿が流れはじめたタイムラインだが、今後はどう広告色が目立たないように、またLINEの独自色も維持しつつ進化させていくのか、注目したい。

増える「LINE FRIENDS」

(4)においては、LINEキャラクターのグッズ販売(マーチャンダイジング)で年間40億円の売上を達成し、さらに成長し続けているという。 前出のLINEグッズショップでも、新アイテムが多数販売されていたが、LINEが新たにこの分野に注力していくことの表れだろう。 これまでのブラウン、コニー、ムーン、ジェームズに加えて、サリーやジェシカ、レナードなどのLINEキャラも、「LINE FRIENDS」ブランドで本格的に展開される模様だ。 このほか、プレゼンテーションでは新サービス「LINE Web Store」、新機能の「ビデオ通話」「LINE MUSIC」「LINE MALL」などの発表があった。