歌手・女優として活躍するセレーナ・ゴメスが製作総指揮を務めたNetflixのオリジナルドラマシリーズ『13の理由』。女子高校生が自ら命を絶つに至った理由を吹き込んだカセットテープを軸に、1話ごとに死の真相を明らかにしていくミステリードラマです。 2017年3月にシーズン1が配信されて以来、「世界でもっともツイートされたドラマ」と言われるほどの社会現象を巻き起こした一方、自殺といったシリアスなテーマを取り上げた内容ということもあって、賛否両論のある作品です。 冒頭で出演者からの警告メッセージ動画が流れるほど、衝撃的なシーンが多く描かれています。 シーズン2でも人気は衰えず、2018年のNetflixオリジナルドラマ連続視聴ランキングの第3位にもランクインし、早くもシーズン3の制作が決定しているそうです。 本記事ではまだ『13の理由』を見ていない人向けに、ストーリーの見どころを紹介します。 Netflix(ネットフリックス)が向いている人、向いてない人は? 魅力と弱点をレビュー
SNSで拡散される噂が少しずつ人を追い込んでいく
自殺したハンナ・ベイカーは容姿端麗で友達も多く、優しい性格で家族にも愛されていました。そんな彼女を死に追いやる最初のきっかけになったのが”SNS”です。 ある写真をSNSで一斉に拡散されたことから、学校内でネガティブな噂が広まります。これをきっかけにハンナは孤立していきます。 教室で次々に鳴り響くスマホの着信音。周囲から向けられる好奇と嘲笑の視線。自分が意図しないところまでプライベートな情報が一瞬で広がるSNSの恐ろしさがリアルに映し出されています。 作中ではSNS以外にも、嘘の情報や悪意のある写真、プライベートな詩などの”拡散”がハンナを傷つける様子が多々描かれています。 周囲の軽率な行為により深刻な人間不信になっていくハンナに、自分を重ね合わせる人もいるのではないでしょうか。
男子生徒によって執拗に繰り返されるセクハラ
男子生徒が悪ふざけで作った女子のランク付けをするリスに”最高の尻”と書かれて教室で広められたハンナは、自尊心をひどく傷つけられます。 このことがきっかけで親友とも絶交することになってしまい、学校中から「尻軽女」というレッテルを貼られてしまうのです。 もっとも残酷なのは、その性的ないじめがハンナを苦しめていることに、周囲がまったく理解を示さないこと。唯一の相談相手だったクレイや、父親でさえも、ハンナが傷ついている理由が理解できず、軽はずみな言葉を口にしてしまいます。 盗撮されたり身体を触られたりとハンナへのセクハラはどんどんエスカレートし、取り返しのつかない肉体的にも精神的にも深い傷を負うことになります。 作中ではハンナのほかにも「女性」というだけで理不尽にふりかかる性的な嫌がらせやハラスメントに関する描写が多くあり、この問題が1つのテーマのようにも感じます。
それぞれのキャラクターが見せる”多面性”
会社では真面目でおとなしい人が家では自分勝手でわがままであったりと、人の性格は一面的ではなくいろんな側面があると言われます。 13の理由に登場するキャラクターたちにも、「えっ、実はこんな人だったの?」という意外な一面が多く描かれています。 特に印象的なのが、生徒や教師からも人望ある優等生が保身のために友だちであるハンナを裏切ってしまうシーン。それまで見せていた優しく親切な態度とは一変して、冷酷な態度でハンナを周囲から孤立させていきます。 周囲から”いい子”と思われているキャラクターが、豹変するときのギャップにも注目してみてください。
何があっても親に相談できない、10代の繊細な心境
ハンナをはじめとする『13の理由』に登場するキャラクターたちは、学校でいじめられていても犯罪まがいの行為が行われていても決して親に真実を語ることはしません。家庭では淡々と平和な高校生活を演じ続けます。 学校で起きていることに関して、頑なに口を閉ざすキャラクターたちを不思議に思う人もいるかもしれませんが、思春期ならではの複雑な心情がリアルに再現されている部分でもあります。 シーズン2ではハンナの両親をはじめとした大人たちの葛藤が描かれ、ひとつの見所になっています。
重いテーマなのに、なぜこんなにも引き込まれるのか
『13の理由』は同世代の高校生のみならず、大人も学生の頃に一度は体験したであろう閉塞感や劣等感を思い出し、心を揺さぶられる作品です。 そして、このストーリーの重要なポイントは、ハンナの自殺の原因が一言で言い表せるものではないこと。小さな理由が少しずつ蓄積することによって、じわじわとハンナの生きる力を奪っていく様子に恐怖を感じつつも、引き込まれていきます。 また、テープを聞き真実を知ったキャラクターたちの中でも心境の変化が生まれます。その中で苦しみながらも考え抜き、最終的にハンナの自殺とどう向き合い、それぞれがどんな行動を取るのかという部分にも注目です。